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お立ち会いがなくても心を込めて向き合う遺品整理

家族が立ち会わない遺品整理で思うこと

遺品整理の仕事では、ご家族が立ち会ってくださる現場もあれば、そうでない場合もあります。

中でも、誰も立ち会わず、鍵だけが手元に渡されて始まる現場は、独特の静けさと重さがあります。

玄関を開けた瞬間から、もうそこには誰の声もありません。

生前の暮らしがそのまま止まった空間に一歩踏み込むと、時間が止まっているような感覚になります。

食卓の上に置きっぱなしの新聞、途中で読みかけの本、使いかけの薬──それらがその人の最期の日常を物語っているようです。

 

家族が立ち会わない理由はさまざまです。

遠方で来られない方もいれば、複雑な事情を抱えている場合もある。

中には、孤独死のように、亡くなった後にしばらく経ってから発見されるケースも少なくありません。

私たちは、そうした背景を詮索することはしません。

けれど、「誰かに見送ってほしかっただろうな」と感じる瞬間は多くあります。

だからこそ、たとえご家族がいなくても、私たちはできる限り丁寧に遺品と向き合うようにしています。

捨てる前に、一つひとつの品物を確認し、「何か大事なものは残されていないか」「ご家族に届けるべきものはないか」と目を凝らします。

写真、通帳、手紙、賞状……。その人の生きてきた証が、誰にも知られずに消えてしまわないように。

誰にも見られずに終わっていく命があることを、この仕事を通して知りました。

だからこそ、最後に関わる私たちの手が、せめてその人への「敬意」や「優しさ」を込められるように、そう思いながら日々作業しています。

 
 
 
 
 
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